社会保険労務士倫理綱領

 社会保険労務士は、品位を保持し、常に人格の陶冶にはげみ、旺盛なる責任感をもって誠実に職務を行い、もって名誉と信用の高揚につとめなければならない。

社会保険労務士の義務と責任

品位の保持
社会保険労務士は、品位を保持し、信用を重んじ、中立公正を旨とし、良心と強い責任感のもとに誠実に職務を遂行しなければならない。

知識の涵養
社会保険労務士は、公共的使命と職責の重要性を自覚し、常に専門知識を涵養し理論と実務に精通しなければならない。

信頼の高揚
社会保険労務士は、義務と責任を明確にして契約を誠実に履行し、依頼者の信頼に応えなければならない。

相互の信義
社会保険労務士は、相互にその立場を尊重し、積極的に知識、技能、情報の交流を図り、いやしくも信義にもとる行為をしてはならない。

守秘義務
社会保険労務士は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。
業を廃した後も守秘の責任をもたなければならない。

社会保険労務士会倫理規定

(目的)
第1条 この規程は、会員が社会保険労務士倫理綱領(以下「倫理綱領」という。)を遵守するための必要な事項を定めることを目的とする。

(会則等の遵守)
第2条 会員は、本会並びに全国社会保険労務士会連合会の会則、規程及び決議等並びに関係諸法令を誠実に遵守しなければならない。
  2 会員は、この規程に定めのない事項についても、倫理綱領の精神に基づき、みずから遵守すべき職業倫理のあることを認識し、会員としての良識において行動しなければならない。

(会に対する協力義務)
第3条 会員は、本会若しくは支部又は連合会から業務に関する協力を求められた場合は、特に正当な理由がない限り、これに応じなければならない。

(事務所名の掲示)
第4条 開業社会保険労務士は、その事務所に社会保険労務士の氏名を掲示しなければならない。
  2 社会保険労務士法人は、法人の名称を掲示しなければならない。

(社会保険労務士証票等の携帯)
第5条 会員は、社会保険労務士業務を行うときは、社会保険労務士証票及び会員証を携帯しなければならない。
  2 会員は、社会保険労務士業務を行うときは、会員徽章を佩用するように努めるものとする。

(広告・宣伝等)
第6条 会員は、虚偽、誇大等、良識を疑われるような広告・宣伝等を行ってはならない。

(会員間の規律)
第7条 会員は、信義を重んじ、みだりに他の会員を誹謗し、又は名誉を傷つけてはならない。

(業務の受託)
第8条 会員は、業務を受託するにあたり、依頼者との間における信頼関係を保持するため、報酬等を明確に定めた契約書を取り交わす等、紛議が生じないよう十分に配慮しなければならない。

(業務に対する責任)
第9条 会員は、受託した業務は責任をもって遂行しなければならない。
  2 会員は、労働社会保険関係業務及び労務管理の専門家としての良心にもとづいて行動しなければならない。

(業務の研さん)
第10条 会員は、労働社会保険関係業務及び労務管理の専門家として、常に研さんに努めなければならない。

(あっせん業者との提携及び名義貸しの禁止)
第11条 会員は、業務のあっせんを業とする者、又はこれに類する者から業務のあっせんを受けてはならない。また、これらの者を利用したり、若しくはこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

(職員の監督)
第12条 会員は、善良なる管理者として、職員を指導監督しなければならない。

社会福祉士の倫理綱領

前文

われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。
われわれは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに、専門職社会福祉士の職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。

われわれは、われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟が採択した、次の「ソーシャルワークの定義」(2000年7月)を、ソーシャルワーク実践に適用され得るものとして認識し、その実践の拠り所とする。

ソーシャルワークの定義

 ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワーメントと解放を促していく。ソーシャルワークは人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。

 われわれは、ソーシャルワークの知識、技術の専門性と倫理性の維持、向上が専門職の職責であるだけでなく、サービス利用者は勿論、社会全体の利益に密接に関連していることを認識し、本綱領を制定してこれを遵守することを誓約する者により、専門職団体を組織する。

価値と原則

1.(人間の尊厳)
社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。

2.(社会正義)
差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現を目指す。

3.(貢献)
社会福祉士は、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。

4.(誠実)
社会福祉士は、本倫理綱領に対して常に誠実である。

5.(専門的力量)
社会福祉士は、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。

倫理基準

1)利用者に対する倫理責任

1. (利用者との関係)

社会福祉士は、利用者との専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。

2. (利用者の利益の最優先)

社会福祉士は、業務の遂行に際して、利用者の利益を最優先に考える。

3. (受 容)

社会福祉士は、自らの先入観や偏見を排し、利用者をあるがままに受容する。

4. (説明責任)

社会福祉士は、利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利用者の意思を確認する。

5. (利用者の自己決定の尊重)

社会福祉士は、利用者の自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用していけるように援助する。

6. (利用者の意思決定能力への対応)

社会福祉士は、意思決定能力の不十分な利用者に対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。

7. (プライバシーの尊重)

社会福祉士は、利用者のプライバシーを最大限に尊重し、関係者から情報を得る場合、その利用者から同意を得る。

8. (秘密の保持)

社会福祉士は、利用者や関係者から情報を得る場合、業務上必要な範囲にとどめ、その秘密を保持する。秘密の保持は、業務を退いた後も同様とする。

9. (記録の開示)

社会福祉士は、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。

10.(情報の共有)

社会福祉士は、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。

11.(性的差別、虐待の禁止)

社会福祉士は、利用者に対して、性別、性的指向等の違いから派生する差別やセクシュアル・ハラスメント、虐待をしない。

12.(権利侵害の防止)

社会福祉士は、利用者を擁護し、あらゆる権利侵害の発生を防止する。

2)実践現場における倫理責任

1. (最良の実践を行う責務)

社会福祉士は、実践現場において、最良の業務を遂行するために、自らの専門的知識・技術を惜しみなく発揮する。

2. (他の専門職等との連携・協働)

社会福祉士は、相互の専門性を尊重し、他の専門職等と連携・協働する。

3. (実践現場と綱領の遵守)

社会福祉士は、実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合、実践現場が本綱領の原則を尊重し、その基本精神を遵守するよう働きかける。

4. (業務改善の推進)

社会福祉士は、常に業務を点検し評価を行い、業務改善を推進する。

3)社会に対する倫理責任

1. (ソーシャル・インクルージョン)

社会福祉士は、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努める。

2. (社会への働きかけ)

社会福祉士は、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける。

3. (国際社会への働きかけ)

社会福祉士は、人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、国際社会に働きかける。

4).専門職としての倫理責任

1. (専門職の啓発)

社会福祉士は、利用者・他の専門職・市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める。

2. (信用失墜行為の禁止)

社会福祉士は、その立場を利用した信用失墜行為を行わない。

3. (社会的信用の保持)

社会福祉士は、他の社会福祉士が専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促す。

4. (専門職の擁護)

社会福祉士は、不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。

5. (専門性の向上)

社会福祉士は、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育・研修に参加し、援助方法の改善と専門性の向上を図る。

6. (教育・訓練・管理における責務)

社会福祉士は教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのよりよい成長を促す。

7. (調査・研究)

社会福祉士は、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。